IT実践勉強会
TOPページへ TOPページアーカイブスIT実践勉強会一覧2006年第1回
第1回 IT実践勉強会 要旨
●日 時: 平成18年7月20日(木曜日)
15時00分 〜 16時30分
●場 所: NTT西日本 熊本支店 桜町ビル 1F
プレゼンルーム
●テーマ: 「次世代企業情報システム構築のポイント」
●講 師: 日本オラクル(株) 西部支社
支社長  江口 良和 氏
日本オラクル(株)西部支社支社長 江口良和 氏

事務局所感−勉強会を振り返って
  メインフレームから始まった企業情報システムは、クライアントサーバ方式を経て、現在、更改の過渡期を迎えているとのこと。次の世代の情報システムを検討するにあたり、「激変する外部環境の変化への対応」、「経営の支える道具とするために」といった観点で、熱く、そしてわかりやすく解説を頂きました。
  アンケートの結果、9割の受講者が「良かった」としており、自社の情報システムを検討するうえで良い参考になったのではないでしょうか。


講演要旨
企業情報システムを取り巻く課題
  1. 法制度への対応
  2. ビジネスモデル変化への対応
  3. 増え続けるITコストへの対応
  4. 経営を支える道具とするために

企業情報システムの現状
(1)企業情報システムの変遷
  1. メインフレームの導入(1980−90年前半)
    ⇒急速に普及し、現場の処理効率は大幅にアップしたものの、増え続ける保守コストが課題
  2. クライアントサーバの導入(1990年後半)
  3. 2007年問題、コンプラアンス対応等に向け、企業情報システム再構築の動き
(2)現状の企業情報システムの課題
  1. システム間連携が大変
  2. データが重複、同期が大変
  3. システム保守・変更が大変
  4. セキュリティ対策が大変
  5. 経営に必要な情報が取れない
  6. ビジネス変化への迅速な対応が困難
  7. ITコストが年々増加

法制度への対応
  「個人情報保護法」、「新会社法」、「日本版SOX法」など、新しい法制度に準ずることはもちろん、準じていることを証明できなければならない。
  現在、最もホットな話題のひとつは、内部統制の強化であり、6つの構成要素からなる。
  1. 統制環境:企業内の全ての統制活動のベースとなる
  2. リスク評価と対応:目標達成に影響を与えるリスクを認識し、リスクに対する対応を行う
  3. 統制活動:リスク対応策を経営陣から社員まで確実に実行すること
  4. 情報と伝達:必要な情報が適切に伝えられることを確保する
  5. モリタリング:不正が発生していないか、監視、評価するプロセス
  6. ITへの対応(IT統制):内部統制が機能するために情報システムの適正性を保つ
  IT統制には、「全般統制」、「業務処理統制」の2つがある。
  1. 全般統制:ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、アプリケーションなどが、開発、運用、保守まで、品質が一定レベルとなるよう統制
  2. 業務処理統制:個々のアプリケーションに組み込まれる統制機能であり、データが適切に収集、処理され、出力処理が正確かつ完全に行われることを確保する

  SOX法対応に向けた重要課題として、セキュリティ対策といったインフラ部分、及び、ユーザIDの適切な管理ができていないなどの指摘がある。

ビジネスモデル変化への対応
  昨今、ビジネスモデルの変化は激しく、今後、さらに激しさは増していくと想像される。Web2.0など、ブログ、SNSなど、インターネット全体がプラットホームとして連動し、ロングテールなど、これまでの常識が通用しない新しいビジネスモデルが生まれており、企業においては、今後、大変大きな課題となると思う。

Web2.0の主なキーワード群「出所:野村総合研究所」
  具体的に、「どうすれば良いのか?」という問いには、答えにくいが、様々な変化に常に敏感になり、外部環境の変化に柔軟に対応できるIT基盤や、外部Webサービスと柔軟に自社システムとが連携できるようなインフラ・アーキテクチャの構築が必要となるだろう。

ITコストの課題
  企業の情報システムのコストは年々増加傾向にあり、ITコストを無限大にすることも、新規IT投資をゼロにすることも、現実的ではなく、どこかの段階で手を打つ必要が出てくる。
  ITメンテナンスコストの増加は、システム拡張費用やマシン台数に依存しているとみられ、コスト抑制のためには、拡張性の高い再利用可能なシステムを構築し、また、IT資産の棚卸を行い、サーバ台数を統合する(60台のサーバを4台にした事例もあり)などの工夫が必要となる。

経営とIT
(1)企業情報システムの現状
  1. データの観点
    −各システムで重複が多く、データの整合性を保つのが困難
    −どのシステムが、どんなデータを持っているのか、調査に時間がかかる
  2. システム連携の観点
    −システムが増えるごとに、連携先システムが増える
    −各システムの変更が、他のシステムに影響を与える
(2)経営からみた企業情報システムの課題 ⇒ 経営を支える道具になっていない
  1. 見たい情報を見ることができない、タイムリーに見ることができない
  2. ビジネスのモニタリングができない
  3. 新ビジネス立ち上げに対応できない
  4. M&Aのメリットが享受できない
(3)経営の道具となる企業情報システムの要件
  1. データの一元管理
    −事実は1つの場所に記録 ⇒重複データの排除
    −データ整合性の仕組みは不要 ⇒開発保守コスト減
    −データ構造は変わりにくく、プロセス変更の影響が少ない
  2. 柔軟なプロセス
    −環境変化の影響を受けやすいプロセスやビジネスルールを分離する
    −プロセスを可視化、変更を容易とする
    −ビジネスの進捗状況をモニタリングする
  3. 様々な角度からのデータ分析
    −一元管理されているデータを様々な軸で分析可能とする
    −リアルタイムに最新情報を取得可能とする
    −決められた閾値を超えた場合、アラートを発する

今後の企業情報システムに求められる要件

理想の企業情報システムへのアプローチ
(1)SOA(サービス指向アーキテクチャ)
  アプリケーションをサービスとビジネス・プロセスに分割することで、「業務フローの変化に対して比較的すばやく対応可能」、「新規要件でも既存サービスの再利用で開発コストを低減化可能」等の効果が期待される。具体的アプローチは、以下のとおり。
  1. アプリケーション機能をサービス化する
  2. その上位でプロセスを構成する
  3. 下位にあるデータの統合を行う
(2)サービスを連携させたBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)
  グラフィカルな環境でワークフローの設計を実施する。

Oracle BPEL Process Manager

推進体制
  情報システム構築のための推進体制として、各部門を経由してIT部門で仕様検討を実施する体制とすると、部門毎に最適化すること(=部門最適)が目的となってしまい経営を支えるシステムとなりにくい。全社最適なシステム構築のため、IT部門が経営と直接意思疎通ができる体制が望ましい。

Oracle Corporationの事例
  日本オラクルでは、親会社のオラクル・コーポレーションがNASDAQに上場していることから、米国SOX法への対応として、業務システムフローの統一を実施。
  1. IT全般統制として、サーバを1インスタンスに統合
  2. 業務処理統制
  3. 全世界の業務プロセスを、自動化及び1つのプロセスに統合
  この結果、以下の効果が生まれた。
  1. すぐれた業務フローの可視性
  2. 業務効率の向上
  3. コスト削減(約1000億円)


出典・参考
■日本オラクル株式会社 http://www.oracle.co.jp/
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