視察報告
TOPページへ TOPページアーカイブス視察報告一覧2005年第2回

新しい観光・集客に関する部会
2005年度 先進地視察研修リポート<北海道>
 

熊本城築城400年祭や新幹線開通、道州制の検討、熊本市の政令指定都市問題など、熊本は観光面においても大きな変化を必要としている時です。しかし、昔から水や農産物に恵まれた土地柄か、他から人を呼び込むことも、自分達が出て行くことも少ないのが熊本の特徴と言えます。そのせいか、なかなか「変わっていく」事ができないのも、また事実です。
そこで新しい観光・集客に関する部会では、古くから観光事業に力を入れている「北海道」視察に参ることとなりました。
北海道は、夏も冬も多くの観光客を呼び込む日本でも有数の観光地です。そんな北海道の観光の魅力とは一体何なのか?
今回の視察は、毎年話題となる「さっぽろ雪祭り」とユニークな動物の見せ方で一躍有名になった「旭山動物園」にスポットをあて、その人気の秘密も探るべく現地に乗り込む次第となりました。



2/7(火) 1日目

15:00〜16:50 さっぽろ雪祭り視察

新千歳空港では、2日目の夜の懇親会をコーディネト頂いた小笠原 良 氏(カドリードミニオン小笠原社長のお兄様です)にお出迎え頂きました。そこから一路、札幌雪祭りが行われている大通り公園まで移動。やっぱりすさまじい雪の多さに窓の外を眺めて興奮する参加者。空港に着いた際、やはり気になったのが、「雪はどうなのか??滑るのか、滑らないのか」という事でほぼ全員空港で滑り止め(カンジキ)を購入。雪国に恐れをなすもっこす軍団には微笑ましいものがありました。雪祭りの詳しい説明は翌日の懇親会で伺う段取り上、先に雪祭りを楽しみました。気温は思ったほど寒くなく、マイナスの世界を案外楽しみにしていたのか、一向は「大して寒くない」と不満げでした。

愛ちゃんの雪像前でまず一枚。 高い雪の壁に思わずタッチ。雪像に使った雪の多さが伺えます。 大雪像以外にも市民手作りのユニークな雪像がたくさんありました。これは生中ジョッキですね。
滑り止めの砂を撒く警備員。至るところに滑り止めの砂が置いてありました。 こちらは大氷像。水色で大変きれいでした。 雪祭り会場の中にある休息所兼フードコートで一休み。雰囲気がよかったです。


第57回さっぽろ雪祭り(祭りは既に終了しました)⇒

http://www.snowfes.com/



北海道の日暮れは早く、5時には空も暮れなずんで参りました。夜が近づくにつれ寒さも増してきたので、予定通り雪祭り会場視察は終了。お腹も空いてきた一行はすでに夕食モード・・。



18:00〜20:00 かに本家 すすきの店

旅の楽しみは、行った先の景色だけでなく、食もまた最大かつ重要な要素として挙げられます。その土地でしか食べられない季節の(特に)海産物の美味しさは、何ものにも変えがたい旅の思い出となる事は誰しも経験していることでしょう。もちろんもっこす軍団も冬の味覚を求めて、かに本家に吸い込まれていったのでありました。

いけすのカニを、 生け捕りにし、 こうなりました。



20:00〜 夜の雪祭り視察

雪祭りは、日中だけでなく、夜間も楽しめる祭りです。会場も大通り公園だけでなくすすきのでも氷像をずらーっと並べて、大通り公園付近まで歩いて楽しく見ることができます。氷像はライトアップされ、趣向を凝らした氷像はどれも精密に作られていました。氷像をその場で作っているチームもあったり、生の魚を氷のブロックに封じ込めたもの、氷のブロックで店舗を作りカクテルを売っていたりと、夜も賑やかなすすきのにひと花添える仕掛け作りをしていました。
雪祭りメイン会場も、ライトアップされた雪像やイルミネーションが美しく、夜寒い中でも人の足が絶えませんでした。

精巧な氷像にシャッターを切る人々。 氷のブロックで店舗を作り酒を出す。 夜間ライトアップされた雪像は夜10時まで楽しむ事ができます。




2/8(水) 2日目

11:00〜13:30 旭山動物園視察

黒葛原園長(熊本市動植物公園)のコーディネイトによりユニークな動物園作りで有名な旭山動物園を訪れました。
ご多忙中にも関わらず、
小菅正夫園長(旭山動物園)より動物園の概要を伺う事が出来ました。

山動物園は昭和42年(1967)に最北の動物園として開園しました。当初は冬は閉園していましたが、冬だからと言って休むのは(動物園として)イメージが悪いと考えました。冬の動物園も楽しいよとアピールするのが目的でしたから客足に関係なく開園することになりました。平成2年から冬の動物観察会という事で年2、3回開催し当初参加者は60人前後でした。それが大変好評になり、最終的には参加応募は抽選・倍率10倍という人気を博す結果となりました。また、行動展示と言って、動物の習性を利用した展示方法を実践し、「上から動物を見下ろす」という今までの動物園の展示方式を覆し、多くの方にご来園頂いています。
旭川市で地域雇用対策費用と言って臨時の予算が組まれた際、冬季開園事業モデルということで1200万円の予算案を提出しました。これがなんとか通りまして、市は人が来ないと思ってたようなんですが、一週間で2.6万人の来場者がありました。そこで、翌年も同じ名前でモデル案を提出したところ、市に「同じのはダメだ」と言われ、中身一緒で名前だけ「冬季観光開発モデル」と表題を変えたら通りました(笑)予算は1000万円計上し、来場者4.5万人を見積もりました。すると市は「800万で」と言ってきました。協議の結果900万になりましたが。おかげさまで、雪のない地方の方々が来るようになりました。アジア圏からも多くの方が来園されます。
現在冬のみの来園者は22.5万人です。旭山動物園の知名度が上がった結果、旭川の知名度も上がりました。夏の旭川市内のホテルの稼働率は98%らしく、泊まれない人は隣の町に宿泊するそうです。経済効果は概算で20億、投資額の8倍なんて試算も出ているようです。動物園の入場料は580円、1000円払えば年間パスポートが買えます。中学生以下、身障者、お年寄りは全て無料ですから、入場料収入だけで動物園の運営が行われているわけではありません。費用については旭川市議会の承認をもらって毎年1億円の予算を組んでいます。これについては、特別会計ですから、私達は市の職員ですが人件費や借金などもここから賄っています。昨年度の入場者は145万人、現在(2月時点)で185万人に達しています。本年度は200万人にまでいくでしょう。入場者の割合は、冬/@道外A札幌B道内、夏/@札幌A道外B道内と言う風になっています。冬の動物園でしか見られない動物展示、夏の動物園でしか見られない動物展示があるので、いづれかの季節に来た方のリピート率は高いです。何度でも足を運んで頂いてる方がたくさんいます。
冬の開園は正月でも空けており、元旦は8000人の方が訪れました。冬と夏の間の閉館時期を除いて常に開園していますが、職員や労働組合がそれについて抗議するという事はありませんね。


ここで、ちょうど行動展示の代表的な例「ペンギンの氷上散歩」の時間となり、小菅園長と一緒にペンギンを見に行きました。

沿道には多くの人が集まっていました。 係の方が観覧者に注意事項を呼びかけています。 キングペンギンのお散歩です。

こんなに多くの人が集まっているのに、ペンギンは何食わぬ顔で行進していました。大抵の動物は人間を怖がるので、なぜこのような行動が出来るのか園長に尋ねました。

キングペンギンや、コウテイペンギンは元々氷上を長く歩く習性がある。それは、海と離れた所に群れを成して産卵し子育てするからである。他のペンギンにはこのような習性が無いので行進することは出来ない。また、同じ習性を持っていてもコウテイペンギンは、キングペンギンより警戒心が強いので、人間が多くいるような場所では歩かない。よって、キングペンギンを飼育対象に選んだ。

ということでした。行動展示を既に意識した動物選びされているんだなあと関心した事務局(動物好き)でありました。


ペンギンの行動展示の説明を受けているところ。 園長以外カンジキ装着して歩いてます。転ばないように・・・。 見渡す限りの雪景色。幸いにも好天に恵まれました!
噂のアザラシ館の展示。アザラシの好奇心旺盛な生態を生かしています。 アザラシの毛皮に触れる事の出来る手作りの展示です。 白熊の行動展示には人だかりができていました。
園長が「大人が歓声を上げるのを聞くのが一番嬉しい」と言っていたのが印象的でした。 白熊館にて園長と共に。本当にありがとうございました! ペンギンが泳ぐのが見れる水槽。ここも多くの人が押し寄せていました。
ペンギンをこんなに間近に見る事が出来たのは初めてです。 雪の中で寝転ぶトラ。これも目の高さで間近に見ることが出来ました。 寝ているユキヒョウに触る木村さん。ヒョウの肉球まで見えました。
黒葛原園長から説明を受ける我々。「へえ〜!」の連続でトリビア状態。 凄い雪ですが、通路はしっかり雪かきされてて問題なしです。 オラウータンの行動展示。長い手足を使って空中を自在に動きます。



大人が十分楽しめる旭山動物園でしっかり楽しんだ一行。お昼には視察も終わり、地元の名物を求めて移動開始です。

旭川と言えば、「旭川ラーメン」!!卵つなぎの縮れ麺が旨すぎます。



18:00〜20:30 札幌観光振興関係者との懇親会
「雪祭りと札幌観光の現状について」


札幌観光協会 専務理事 岩間英雄 氏
同協会       事務局長 逆井  浩 氏
(株)北海道観光物産公社 専務 田名網 玄源 氏
(株)小笠原商店 代表取締役社長 小笠原 良 氏

の4名のゲストお招きし、北海道の新鮮な海産物を手ごろな値段で楽しめる「春花秋灯/南5条店」でお話を伺いながら海の幸とお酒を楽しみました。

っぽろ雪祭りは、当初大量の雪の捨て場に困った事から、それを利用して雪像を作ろうという事から起こった祭りである。その後自衛隊が訓練名目で応援してくれるようになり現在に至っている。昔は真駒内にも別会場を作りで雪祭りを行っていたが、軍備縮小に伴い現在は無くなってしまった。自衛隊の雪像作りの技術力と組織力は素晴らしいものがある。それでも雪像造りは一ヶ月前から始まり、一週間前にもなると泊り込みで作業をしている。雪像造りには、市民や海外からのゲストも参加している。海外からのゲストに係る費用は、現地から北海道までに旅費を本人負担、北海道での滞在費は祭りが負担するようになっている。
札幌観光協会は札幌市役所の中にあり、市の観光課と協同でイベントを開催している。雪祭り実行委員会もこの二つで組織されている。北海道全体の観光施策については、北海道観光連盟が行い、各地方の観光協会がそれに加盟している。北海道観光連盟は、補助金の依存度が高いが、札幌観光協会は会費制になっており、地元企業が多く加盟している。また、自ら事業も行っているので補助金に頼らない自立性の高い組織になっている。
雪祭りはエリアに分け、各エリアをテレビや新聞社が担当し、雪像を作るスポンサー企業を集めるという仕組みになっている。雪祭りには45万人のお客様が訪れ、外国からのお客様が6.5万人(21万人/台湾、8万/香港、7万/韓国)だった。雪のない地方の人たちが多く訪れる。今では雪像を壊すのを見に来るツアーというものまである。
他の北海道観光の代表的な祭りでよさこいソーラン祭りがあるが、あれは収益性が低い祭りである。雪祭りの本部運営は1億3千万であり、5600万/北海道、札幌市からの補助金、300万/札幌商工会議所、札幌観光協会負担金、3300万/協賛金、4400万/売店、広告収入、50万/その他 という内訳になっている。

札幌観光協会⇒
http://www.sta.or.jp/index.shtml

春花秋灯南5条店⇒
http://r.gnavi.co.jp/h061908/
↑ここでの食事中ある方がお水をこぼされました。ぱっとやって来た若い女性店員の方の第一声が「お客様は大丈夫だったでしょうか?」だったそうです。おもてなしの心を感じるエピソードでした。



2/9(木) 3日目

10:00〜11:00 白い恋人チョコレートファクトリー見学


建物の中は甘い香りが漂っていました。 アンティークカップの優美なコレクションに乙女心爆発です。 白い恋人が続々と製造されています。

内を案内してくれたのは、愛嬌のある笑顔のおばちゃん(ごめんなさい)でした。ばらばらで行動する我々(ご迷惑おかけしました)なので、案内にも苦労されたかもしれませんが、最後尾の人間にも気配りを忘れない方でした。工場見学も終わり買い物も済ませ、外に出ると雪が舞っていました。パウダースノーの雪は簡単に風に舞い上がり飛び上がります。先ほど案内をしてくれた女性も雪が降っていましたが、外に出てバスの場所を教えてくれました。バスに乗って工場を見ると、さっきの女性が飛び上がって(!)手を振っているのが見えました。正面玄関で違うバス(これには各国の駐日大使が乗っていました)を見送っていた他の方も、私達のバスに笑顔でずーっと手を振ってくれました。それが、「いかにもやってます」というのではなく、本当に自然に「また来てね!」という気持ちが伝わる見送り方だったのです。観光地にありがちなマニュアル通りの接客ではない、真のおもてなし魂を見たような気がしてバスに乗っていた我々は深く感心したのでありました。

白い恋人パーク⇒
http://www.shiroikoibito.ishiya.co.jp/




11:30〜13:00 札幌場外市場視察

場外市場中心街商業組合代表の方にお話を伺いました。

在43の売り場があり、店舗は全て個人営業である。行政からの補助はもらっていない。札幌には他に二つの市場があるが、この場外市場が一番大きい。そのため観光バスが止まるようになった。バブル時は、10万単位で買い物をする客がバカバカいたが最近はそういうことはない。近頃は東南アジア系のお客様が増えている。しかし、台湾以外生もの配送がダメなので買い物をしないのでお金を落とさない、見て帰るだけである。年間30〜35万人の客足があり、バスで来る人はその内7〜8万人である。多くの方が足を運ぶので、トイレなどの公共のものを自分達の組合の運営費でユニバーサルにしたりしている。

場外市場外観。平日だったせいか閑散としていた。 昼に食べた寿司がイマイチでがっかりした後にとりあえず激写。


14:20 新千歳空港着

今回の視察で大変お世話になった小笠原さんは空港内にお土産屋を構えています。そこで各々お土産を購入し旅を締めくくりました。皆さん、大変おつかれさまでした!(それぞれ購入したカンジキをどうされたのか気になる事務局でした)




まとめ(亀井部会長)

今回の視察の目的は、「北海道観光の魅力とは何か?」を探る事でした。実際自らが観光客となり足を運んでそれを実感することができた視察でした。

@弱点の利用
雪祭り、旭山動物園、両方とも「雪が多い事」を逆手に取った試みをしたと言えます。雪の捨て場に困って始められた雪祭り、冬の動物観察会で人気に火が付いた旭山動物園。どちらも弱点を利点にかえて観光客を呼び込むのに成功しています。

Aストーリーがあって、ブランドがある
雪祭りにも旭山動物園にも、現在に至るまで地道な努力がなされています。それは、決してブランド作りが先にあるのではなく、地道に努力した結果、多くの人を魅了するイベントや施設へと成長していったのです。

B情報発信
雪祭りはマスコミを上手く使って情報発信をしていました。まずは、マスコミに雪祭り会場のブロックを担当してもらい、各々のブロックを担当したマスコミがスポンサー企業の雪像を利用して番組を制作したり、コンサートを開いたり、イベントを開催したりしていました。ですから、雪祭り実行委員会は広報にお金を使う必要が無い訳です。旭山動物園は、努力の結果がマスコミの取材を多く呼び、それがブームとなるほど広がった結果の集客だと言えます。


観光産業は北海道にとって重要な収益源です。しかし、何の努力も無しで人をわざわざ冬の北海道まで足を運ばせているわけではありません。現状に自己満足しない姿勢が一丸となって初めてその地方の「魅力」となるのではないでしょうか。
自分達ばかりが満足して、足を運んで頂いた方の気持ちを考えない観光施策にリピート客は生まれません。一過性のイベントを打つだけでは魅力ある熊本作りはできません。
築城400年祭を控えた熊本に何が足りないのか、勉強になる視察となりました。
勉強になっただけでなく、人的交流が盛んな視察であったという事も言えます。参加者には同友会だけでなく、動植物園長、県観光物産総室の方にご参加頂きました。また現地でも、実際の現場で動かれている方の生の声を直に伺う貴重な時間を頂きました。大変実りある視察になりましたことをお礼申し上げます。

○事務局から追伸
居酒屋の店員さん、白い恋人パークのおばちゃん。ふとしたときに感じる旅人への配慮は受ける側にとって、その土地をまた訪れたくなる最大要因ではないかと思います。私は、すすきのからホテルへ戻るとき道に迷って現地の方に道を尋ねました。なんとなく分かったけど大丈夫かな〜という微妙なリアクションをした瞬間、相手の方が本当に心配そうに「分かります?大丈夫ですか?」と気遣ってくれたのに驚き、また嬉しく思いました。こういう旅の思い出がまたその土地に足を向かわせるのだろうと、なんとなく思った事務局でした。
                                                      (文責:事務局)

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